金星探査機「あかつき」の金星周回軌道入り確認
―5年ぶり再投入成功、来春から本格的観測を開始
:宇宙航空研究開発機構(2015年12月9日発表)

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「あかつき」が姿勢制御用エンジン噴射後に撮影した金星画像(提供:JAXA)

 (国)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月9日、同月7日に姿勢制御エンジンを使って減速、金星を回る軌道入りの操作を行った金星探査機「あかつき」が無事、金星を回る軌道に乗ったことを確認したと発表した。発表によると「あかつき」は9日現在、最も金星に近い所で約400km、最も遠い所で約44万kmの楕円軌道を飛んでいる。今後軌道を徐々に変え、来年4月以降、本格的な金星の観測を開始する。日本の探査機による本格的な惑星探査はこれが初めてである。

 

■わが国初の探査機による惑星観測実現

 

 わが国の探査機による惑星探査は1998年の火星探査機「のぞみ」の打ち上げで始まったが、「のぞみ」探査は機器の故障で失敗。次いで2010年5月、金星探査機「あかつき」を打ち上げたが、同年12月に軌道制御エンジンの故障で金星周回軌道に乗れず、太陽を回る軌道を飛んでいた。このため、JAXAは、改めて金星周回軌道投入チャンスを計算、12月7日、5年ぶりに「あかつき」の金星周回軌道再投入を行った。

 この日、金星より外側の軌道を飛んでいた「あかつき」が金星に追いつかれた瞬間に、「あかつき」の4基の姿勢制御エンジンを20分余り噴射して減速、金星を周回するようにした。太陽系で地球より1つ内側の惑星の金星は地球の兄弟星ともいわれながら、その環境は高温の二酸化炭素の大気に包まれ、硫酸の雲が浮かぶ、地球とは全く異なるとされている。

 「あかつき」は、その違いを明らかにするため、赤外線カメラなど6種の観測機器を積んでいる。9日の発表では、現在の金星周回軌道から「あかつき」が撮影した金星写真も公表されており、観測機器は無事のようだ。今後、観測機器の性能確認後、2016年4月から2年間、金星探査を行う計画という。

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