葉緑体進化のカギ握る2つの藻類のゲノムを解読
―葉緑体獲得に伴う「植物化」の仕組み解明に道
:筑波大学

 筑波大学は11月29日、葉緑体進化のカギを握る2つの藻類のゲノムを解読したと発表した。二次葉緑体の獲得に伴う生物の「植物化」の仕組み解明につながる成果という。
 ゲノムの全塩基配列が分かったこの2つの藻類、「クロララクニオン藻」と「クリプト藻」は、もともとは捕食性の原生生物が真核藻類を細胞内共生(二次共生)させることにより、葉緑体を獲得して植物化したと考えられている。
 具体的には、クロララクニオン藻は真核藻類の緑藻、クリプト藻は同じく真核藻類の紅藻を細胞内共生させることで葉緑体を得て植物化した二次植物で、クロララクニオン藻、クリプト藻のいずれも細胞内共生によって葉緑体となった共生藻の縮小した核(ヌクレオモルフ)と、若干の細胞質を今でも葉緑体周縁部に保持している。
 カナダのダルハウジー大学の国際共同研究プロジェクトに参加した筑波大学の研究チームはこの点に着目し、葉緑体の獲得と進化の解明を目指してゲノムの解読に取り組んでいた。
 今回の研究では、2つの藻ともゲノム中にある藻類由来の遺伝子の全てが、必ずしも葉緑体で働くタンパク質の遺伝子とは限らないことが見出されたという。また、そうした遺伝子は、葉緑体の祖先となった共生藻に由来するものだけではなく、他の藻類に由来する遺伝子も多く存在していることが確認されたという。
 従って両藻の核ゲノムは、様々な生物由来の遺伝子で構成されたモザイク状のゲノムであることが分かったとしている。

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