(独)産業技術総合研究所は11月27日、多孔性配位高分子中に無数にあいているナノメートル(1nmは10億分の1m)サイズの超微細な細孔内に金属のナノ粒子触媒を均一に固定化することに成功したと発表した。 この成果は、次世代エネルギーの一つである水素の製造をはじめ、金属ナノ粒子の合成、太陽光エネルギーの変換などへの応用が期待されると、同研究所はみている。 使用したのは「多孔性配位高分子」と呼ばれる内部にナノメートルオーダーの細孔がジャングルジム状にあいている高分子材料。 近年、多孔性配位高分子の内部に規則的に並ぶジャングルジム状のナノ細孔を利用する研究が世界的に注目され、ナノ細孔内に金属ナノ粒子を固定化する様々な方法が試みられているが、金属粒子が多孔性配位高分子の表面を覆ってしまうため、これまでナノ細孔内に均一に固定化できなかった。 産総研が成功した方法は、多孔性配位高分子を有機溶媒の一種ヘキサン中に分散させ、その液中に金属ナノ粒子材料として塩化白金酸の水溶液を加え、白金のナノ粒子を同高分子のナノ細孔内に形成させるというもの。白金ナノ粒子を細孔内に均一に固定化できることが透過型電子顕微鏡による観察で確認できたとしている。 産総研は、多孔性配位高分子内に固定化した白金ナノ粒子を触媒にして、燃料電池の水素貯蔵材料として期待されているアンモニアボランと呼ばれるアンモニアとホウ素と水素の化合物を反応させて水素製造を試みているが、これまで最も高活性とされていた白金触媒の2倍の水素発生速度を記録している。
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多孔性配位高分子に固定化された白金ナノ粒子触媒の透過型電子顕微鏡による観察結果。白金ナノ粒子は黒い点として、多孔性配位高分子は黒い点を保持する灰色の背景として観測される(提供:産業技術総合研究所) |
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