炎症を抑えるタンパク質を発見
―関節リウマチの新治療法に道
:筑波大学

 筑波大学は11月29日、炎症で関節が痛む難病「関節リウマチ」に深く関係するタンパク質を発見したと発表した。このタンパク質は、体内で炎症を抑える働きを持つ一方、その働きを人為的に抑えると反対に関節炎を発症することが、マウスを用いた動物実験で確認された。患者数が全国で約70万人にのぼるといわれる関節リウマチの革新的な治療法に道が開かれると期待している。
 筑波大医学医療系の松本功准教授、住田孝之教授らの研究グループが発見した。
 関節リウマチは、ウイルスや細菌などの外敵から身を守るためにヒトがもともと持っている免疫が異常を起こし、自らの体を傷つけてしまう自己免疫疾患の一つ。根本的な原因はいまだに解明されていない。ただ、その治療については、炎症に関わる腫瘍壊死因子(TNFα)やインターロイキン‐6(IL‐6)などを制御する生物学的製剤が有効とされている。
 そこで研究グループは、関節炎を起こすモデルマウスにTNFαを投与、そのときにマウスの体内で「TIARP」と呼ぶタンパク質が多く産生されることを突き止めた。さらに遺伝子操作でマウスがこのタンパク質を作れないようにしたところ、マウスの80%が1年以内に関節炎を発症、血清中のIL‐6濃度が上昇するなどの現象がみられた。
 また、このTIARPに相当するヒトのタンパク質「STEAP4」を対象に研究を進めたところ、関節リウマチの患者の体内では免疫細胞の一種であるマクロファージなどがSTEAP4を盛んに作っていることを確認した。こうした結果から、研究グループはこれらのタンパク質が体内で炎症を制御するTNFαやIL‐6の刺激を低減する効果を持つとみている。
 このため研究グループは、今回の成果について「関節リウマチの病因の一端を解明するもの」としている。特に炎症の制御メカニズムの一部が解明されたことで、関節リウマチの新しい治療法の開発つながると期待している。

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