X線天文衛星「すざく」との通信が不良に
:宇宙航空研究開発機構(2015年6月12日発表)

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宇宙でのX線天文衛星「すざく」の想像図(提供:JAXA)

 (国)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月12日、2005年に打ち上げたX線天文衛星「すざく」との通信が不良となり、間欠的にしか通信できない状態が6月1日から続いていると発表した。

 ブラックホールや銀河団といった宇宙の高エネルギー現象を調べるには、X線観測が最適。しかし、宇宙からのX線は、地球を取り巻く大気によって吸収・散乱されてしまうため地上での観測ができない。その宇宙からのX線を観測する衛星がX線天文衛星で、「すざく」は2005年7月10日に同機構の内之浦宇宙空間観測所(鹿児島)から「M-V(ミュー・ファイブ)」ロケットで高度570kmに打ち上げたわが国5番目のX線天文衛星。

 「すざく」は、折りたたみの太陽電池パドル2枚を備えた重さ1.7tの八角柱状の衛星で、約9年間にわたって観測データを取得し、銀河団の外縁に至るまでのX線スペクトルを初めて測定するなどさまざまな成果をあげてきた。

 それが、6月1日から衛星の動作状況を地上に知らせる通信が間欠的となり、太陽光が太陽電池パドルに当たっている時間だけ衛星の電源が入り、太陽光が当たらなくなると直ちに切れてしまう状況が続いているという。JAXAは、正常観測への復帰を目指して安定した電源を確保する方法を今後1〜2カ月間模索することにしている。

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