JSTの「イノベーションハブ構築支援事業」に
―従来の枠組みを越え異分野融合・人材糾合で成果目指す
:宇宙航空研究開発機構/物質・材料研究機構/防災科学技術研究所(2015年6月11日発表)

 (国)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と(国)物質・材料研究機構は6月11日、(国)科学技術振興機構(JST)の平成27年度からの新規事業「イノベーションハブ構築支援事業」に提案した両機構の応募テーマが採択課題に、(国)防災科学技術研究所の提案がFS(フィージビリティウスタディ=実現可能性調査)採択に決まった、とそれぞれ発表した。

 

■つくばの研究機関では課題2件、FS1件採択

 

 平成26年6月に閣議決定した「科学技術イノベーション総合戦略2014」は、「世界で最もイノベーション(技術革新)に適した国」を目指し、研究開発機関を中核にイノベーションハブの構築に取り組むとしている。

 JSTの新事業は、国立研究開発法人が中心となって大学や企業などから人材を糾合し、従来の枠組みを越えた異分野融合によるイノベーションを行おうというプロジェクト。JAXAの「太陽系フロンティア開拓による人類の生存圏・活動領域拡大に向けたオープンイノベーションハブ」と、物材機構の「情報統合型物質・材料開発イニシアティブ」の2テーマが平成27年度の採択課題に選ばれた。

 これからの宇宙探査は、民間企業などが参画しての国際共同と競争による月と火星に向けた活動を中心に進められるとみられている。JAXA提案のテーマは、そうした宇宙探査に技術力・アイデアをもつ企業や大学が参加できる場を設け、JAXAを結節点にオールジャパンの開かれた研究ハブを構築、革新的な宇宙探査技術に挑戦して新たなイノベーションの実現を図ることを目指している。

 物材機構のテーマは、新しい物質・材料研究を進めるオープンイノベーションハブを同機構に構築するのが狙い。使いやすいデータベースを構築しながら、産業界の物質・材料に関する課題・ニーズに有効なソリューション(解決策)を短期間で開発・提供できるようにするのが目標で、社会的に波及効果の大きい磁性材料・蓄電池材料・伝熱制御材料などの開発と実用化に取り組む。

 このほか、(国)防災科学技術研究所提案の「『攻め』の防災に向けた気象災害の能動的軽減を実現するイノベーションハブ」がFS採択課題に選ばれた。近年激化している局地的・突発的な気象災害への予兆を早期に予測する手法を確立し、被害の軽減などを目指して人材・技術を結集するハブの形成を目指す。理化学研究所のテーマもFS採択された。

 JSTの支援期間は、最長で5年間。27年度の予算は15億円となっている。

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