(独)農業・食品産業技術総合研究機構の作物研究所は9月16日、食物繊維の一種「β(ベータ)-グルカン」を多量に含む大麦の新品種を開発、「ビューファイバー」と名付けたと発表した。
大麦は、他の穀物よりβ-グルカンを多く含んでいる。その従来の大麦より新品種は、β-グルカンを2~3倍も含んでおり、パンや菓子類、めん類などへの利用が期待されるという。
同研究所は、茨城県内の関係企業の協力を得て、このビューファイバーの大麦粉を使ったパンやシフォンケーキ、カレールーなどの試験販売を今年の秋から行うことを計画している。
β-グルカンには、血中コレステロールの低下、血糖値上昇抑制、免疫活性化などの健康維持機能があることが知られ、米国のFDA(食品医薬品局)は一定量以上の大麦β-グルカンを含む加工食品に対し「健康強調表示(ヘルスクレーム)」を認めている。
新品種は、農林水産省の委託プロジェクト「低コストで質の良い加工・業務用農産物の安定供給技術の開発」の成果で、β-グルカンを増やす働きがある遺伝子の解析を行い、でん粉合成の変異遺伝子がβ-グルカンの高含有化に有効であることを突き止め実現した。
大麦には、穂の形によって二条大麦と六条大麦とがある。新品種ビューファイバーは、「四国裸84号」という二条大麦にでん粉合成の変異遺伝子を導入して育成したもので、β-グルカン含有量が9%前後に達することを確認している。このβ-グルカン含有量は、従来の六条大麦の約2倍、二条大麦の同3倍に当たる。
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No.2010-36
2010年9月13日~2010年9月19日