ウニのような姿形をした新種の結晶集合体を発見
:物質・材料研究機構/ジャワハラール・ネルー先端科学研究センター(インド)

 (独)物質・材料研究機構は9月16日、インドの研究所と共同でナノメートル(nm、1nmは10億分の1m)レベルの微細な酸化亜鉛の棒状結晶がウニや栗のトゲのように放射状に突き出した結晶集合体を発見したと発表した。結晶集合体には、トゲの先端がプラスとマイナスに帯電した2種類あることがわかっており、こうした自発的な極性制御という特異な性質を持つ物質として応用が期待できるという。
 また、貝が真珠を作り出すなど自然界で生物が無機鉱物を生成する「生体鉱物化作用」などの結晶成長の仕組みの解明や、nm領域で物質を組織化し用途に合った新材料を生み出す技術開発などにも役立つと見られる。
 新種の結晶集合体を発見したのは、同機構国際ナノアーキテクト研究拠点のガウタム・ウジャル研究員とインドのジャワハラール・ネルー先端科学研究センターのチーム。
 酸化亜鉛は、透明電極や圧電素子、化粧品などに広く使われている物質。これを200ºCの高温と高圧を利用して結晶成長させたところ、極性の異なる2種類の結晶集合体が出来ることを見出した。
 トゲの先端がプラスに帯電したものとマイナスに帯電したものでは、例えば外部からの刺激で励起させて発光させた時の光の生じ方が違うなど、その特性は異なるという。今のところ、結晶集合体の極性が何によって決まるのか、放射状に突き出たトゲの中心部に何が存在するのかなどは分かっておらず、同機構は今後解明を急ぐことにしている。
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ウニのようなトゲが突き出た新発見の結晶集合体の拡大写真(提供:物質・材料研究機構)