遺伝子組換え温室の天窓開放に伴う花粉飛散の調査結果を発表
:農業生物資源研究所

 (独)農業生物資源研究所は9月16日、遺伝子組換え温室の天窓が一時開放状態になったが周辺への花粉飛散による交雑を調べた結果、交雑は認められなかったと発表した。
 同研究所は9月15日、遺伝子組換え温室の天窓が一時、開放状態になっていたことが判明したので、関係監督官署へ相談・届け出をすると共に、花粉飛散の可能性について「PCR検査」という方法でモニタリングをしており、結果については速やかに公表すると発表した。PCR検査とは、DNA(デオキシリボ核酸)を増幅する手法で、ごく微量のDNAであっても検出することが可能な検出法をいう。
 発表によると、9月9日と9月14日に、研究中の遺伝子組換えイネを育成している遺伝子組換え温室で、天窓が一時的に開放状態になっていたことが判明した。天窓は、自動開閉式の仕組みになっており、両日とも温室内部にいた所員がすぐに気づいて天窓を閉鎖する処置をとった。また、温室の構造上、花粉飛散による組換え遺伝子の環境中への放出の可能性は極めて低いと考えられるが、同研究所では念のため、周辺のイネについてPCR検査によるモニタリングを実施した。
 9月15日に、研究所構内8か所(遺伝子組換え温室から最短で約70m、最長で400m)から400サンプルを収集し、遺伝子組換えイネにのみ存在しているマーカー遺伝子を特異的に検出することができるPCR検査法により、花粉飛散による交雑があるかどうかを調べた。その結果、花粉飛散による交雑はなかったことを確認した。
 同研究所では、今後同じような事例が繰り返し発生することがないよう、再発防止対策として、[1]遺伝子組換え実験に使用している温室については、天窓が開閉することがないように、固定するなどの措置をとった。また、[2]遺伝子組換え実験に関する法令及び同研究所の規定などに関し、全職員に対する教育・指導を行い、遺伝子組換え生物などの適正な管理の徹底を改めて図る、としている。

詳しくはこちら