(独)農業生物資源研究所は9月13日、岡山大学と共同でコメのカドミウム蓄積を抑制する遺伝子を発見したと発表した。
カドミウムは、人体に有害な元素の一つで、イタイイタイ病の原因物質。このため、国際的に精米中のカドミウムの安全基準は、0.4ppm(1ppmは100万分の1)とされている。しかし、世界では、この基準値を超えるコメがしばしば検出されており、コメ中のカドミウム低減は今も重要な課題になっている。
同研究所と岡山大学資源植物科学研究所の研究グループは、世界各地のイネ約140種類を同じ土壌で育ててみたところ、品種によってコメ中のカドミウムの量が大きく異なることを突き止め、遺伝子を比較した結果、「OsHMA3」という遺伝子がカドミウムの蓄積にかかわっていることを発見した。
OsHMA3は、根の全ての細胞の液胞と呼ばれる部分に局在する。液胞は、植物細胞の中の液体(細胞液)が溜まっている部分のことで、コメ中のカドミウム含有量が少ない低カドミウムイネのOsHMA3はカドミウムを選択的に液胞に隔離する機能を持ち、その液胞への隔離でコメやワラへのカドミウムの移動が抑制されていることが分かったという。
同機構は、OsHMA3を制御することで、安全で安心できる低カドミウム米が作れると見ている。
No.2010-36
2010年9月13日~2010年9月19日