地球観測衛星の光学センサーデータ利活用を促進
:産業技術総合研究所(2016年4月1日発表)

 (国)産業技術総合研究所は(産総研)4月1日、飛行中の米国の地球観測衛星「TERRA」搭載の日本の高性能光学センサー「ASTER」の観測画像の有用性をこれまで以上に高めたものを同日からインターネットで無償提供する、と発表した。「ASTER-VA」と呼ばれるこの公開画像データは産総研が独自な方法で処理して作成した天然色画像の他に、地質情報を含む地図との重ね合わせのために地形の凹凸など補正したデータ、標高データも含まれる。

 「TERRA」は米航空宇宙局(NASA)の「地球観測システム(EOS)」で開発した最初の衛星で1999年12月に打ち上げられた。我が国が開発した高性能光学センサー「ASTER」など6台の観測装置を搭載、多面的な観測をほぼ同時に行える。「ASTER」では14波長による観測画像データと、直下視と後方視の観測データを組み合わせることで標高データも得られる。

 今回提供される公開画像データはNASAからインターネット回線を通じて得たものを(一財)宇宙システム開発利用推進機構(JSS)が処理したもの。その空間分解能は、これまで無料で自由に利用できる「ランドサット」画像より高く、バンド数も多い。可視光/赤外線領域では分解能15mのものが3バンド、短波長赤外線領域では分解能30mのものが6バンド、熱赤外線領域では分解能90mのものが5バンドある。公開画像は地形の凹凸や傾きも補正されており、衛星データを地理情報システムの背景データとして使える。

 「ASTER」は既に当初設計寿命の5年を上回る15年以上の観測実績があり、今後も長期運用可能と視られている。産総研では、このデータを防災・環境・農林水産などの分野で更に一層より有効利用するため、運用の効率化と配信に係わる研究開発をJSSと共同で進める計画である。

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