(国)物質・材料研究機構の太陽光発電材料ユニットは3月28日、ペロブスカイト太陽電池の標準面積(1cm2)のセルで、世界で初めて18%を超える変換効率を達成したと発表した。材料の組み合わせや各層の膜厚を最適化して、今年中には20%を目指す。
ペロブスカイト太陽電池は、先行のシリコン系太陽電池と比べて材料費が安く、塗って作れるため大量生産が可能で、製造コストを大幅に下げられるとあって急速に注目されてきた。
同機構は2年前から研究に着手し、昨年5月には1cm2のセルで変換効率15%を実現した。今回はさらに一部のヨウ素を臭素に置き換えるなどして欠陥の少ない大きな結晶粒子を作成。これによって光を受けて発生する電子とホール(正孔)を効率良く取り出すことに成功した。
このタイプでは20%を超える変換効率が外国で報告されているが、セル面積が同機構の約10分の1と小さいために測定誤差が出やすく、測定方法も未公開で信頼性が不足していた。同機構では中立な太陽電池評価機関である産業技術総合研究所・太陽光発電研究センター評価・標準チームによって確認してもらった。
今後、高性能の材料の組み合わせや、電子抽出層、電子輸送層、ペロブスカイト層などの最適化によって1cm2角で変換効率20%を目指す。さらにシリコン系の最大変換効率25%を視野に、民間企業と共同で実用化研究を進め、火力発電並みのコスト(キロワット時7円)を実現したいとしている。

図は、産業技術総合研究所の太陽光発電研究センター 評価・標準チームによって計測されたペリブスカイト太陽電池の電流—電圧特性。右側の赤い下線部分が18%を超える変換効率を達成したことを示している。