(独)農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の作物研究所は12月13日、牛が消化しやすい飼料用稲の新品種を開発したと発表した。
飼料用稲の栽培は、水田の利用効率を上げる有効な方策の一つとされ、主要食用稲の「コシヒカリ」より早く収穫できる品種の開発が飼料稲生産農家から望まれている。
新品種は、「たちはやて」と呼ばれ、稲穂が完熟する前に籾(もみ)と茎、葉を一緒に収穫して発酵させる稲発酵粗飼料用に開発したもの。早生で「コシヒカリ」より約2週間早く収穫できて収穫作業の労力分散が図れ、牛が消化しやすい茎と葉の割合が高いのが特徴。
「たちはやて」は、高さが高くなる(117cm)にもかかわらず、倒れにくさを示す耐倒伏性は「極強」。牛が消化しにくい籾の割合が低く、茎と葉に含まれる難消化性成分のリグニン含有率が通常の品種より2割近く低い。
栽培適地は、関東以西で、「数年後には関東以西を中心に数十ha(ヘクタール、1haは1万㎡)の栽培が見込まれている」と同研究所。
弱点は、白葉枯病に弱いこと。このため、常発地での栽培は避けることが必要という。
また、成熟が早く、収穫の適期が他の飼料用品種より短いため、計画的に収穫するようにとしている。
No.2013-49
2013年12月9日~2013年12月15日