低抵抗のソース・ドレイン電極形成技術を開発
―「14nm世代」以降のフィン型トランジスタ実現に一歩
:産業技術総合研究所/日新イオン機器

 (独)産業技術総合研究所と日新イオン機器(株)は12月9日、次世代のフィン型トランジスタ(フィンFET)の製造に道を開く低抵抗のソース・ドレイン電極形成技術を開発したと発表した。厚さ10nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)以下の極薄シリコンフィン部分に、抵抗の原因となる結晶欠陥が無い電極をイオン注入法で形成できる。今後、量産化装置の開発を目指すという。

 

■高温イオン注入で無欠陥に

 

 2017年に市場投入が想定されているフィンFETは「14nm世代」と呼ばれ、最小加工寸法14nm以下の素子製造技術が求められている。これを実現するうえで最大の課題とされているのが、シリコンチャンネルが起立した形の極薄のフィン部分における電極形成。
 一般に電極のソース・ドレイン形成には不純物元素をイオン注入し、注入後に熱処理して不純物を活性化させるという方法がとられるが、従来の室温でのイオン注入だとどうしても欠陥が残るという問題があり、極薄フィンではこの解決が大きな課題とされていた。
 共同研究チームは今回、注入温度500℃での高温イオン注入を試みた。その結果、室温イオン注入ではすべて非晶質化するシリコンフィン部分に、高温イオン注入だと結晶層が残り、これが種結晶となって熱処理により結晶が回復、無欠陥になることを見出した。
 無欠陥化により抵抗は大幅に低減することから、高温イオン注入は14nm世代以降のフィンFETのソース・ドレイン形成技術として極めて有望という。

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