筑波大学は12月6日、これまで知られていなかった副腎皮質ホルモンの分泌制御機構をマウスで発見したと発表した。副腎皮質ホルモンの分泌は内分泌系の制御が知られているが、これとは別に、副腎皮質における局所的な制御があり、その制御機構が雌マウスにおいて不安を抑える、抗不安作用に結び付いていることが明らかになったという。
■精神疾患のメカニズム解明に期待
副腎は副腎皮質ホルモンを分泌する内分泌器官であり、同ホルモンの一つであるグルココルチコイドは体内で「ストレスホルモン」として様々な作用をしている。その分泌は脳の視床下部、下垂体前葉、副腎皮質からなる内分泌系の経路によって調節されているが、研究チームは今回、グルココルチコイドの日内変動(1日単位のリズム)が副腎皮質の局所において制御されていることを見出した。
また、日内変動の振れ幅が大きくなることが、雌のマウスにおいて不安を軽減する作用に結びついていることを突き止めた。
グルココルチコイドはうつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)、クッシング症候群などの精神疾患に関与しているとされており、今回の成果はそのメカニズム解明や薬の開発に役立ちそうだという。