No.2012-51
2012年12月17日~2012年12 月23 日

天体誕生を探るロケット実験成功
―微小な重力環境で宇宙ダスト形成など観察
:宇宙航空研究開発機構/東北大/東海大
(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月17日、微小な重力環境を作り出して宇宙ダストの形成などを観察する観測ロケット「S-520」28号機を内之浦宇宙空間観測所(鹿児島)から打ち上げ、実験は計画通り終了したと発表した。 今回の実験は、東北大学、東海大学が参加して、ロケットの弾道飛行中の数分間に得られる微小重力環境を利用し、宇宙ダストと炭酸塩結晶の生成を狙った均質核形成実験。結晶化の最初の段階である核形成の様子を観測・計測し、将来的に国際宇宙ステーション(ISS)で行う長時間実験の基礎データとするもの。宇宙ダストの核形成再現実験では、宇宙空間を模した3つの真空容器中に鉄と酸化タングステンの蒸気を噴き出して、宇宙ダスト(固体微粒子)がどのように形成されるかを観測した。地球のような天体誕生の仕組みの解明につなげる。 もう1つの炭酸カルシウム核形成実験では、炭酸イオンとカルシウムイオンを含む11種の異なる濃度の水溶液を混ぜ、炭酸カルシウムの結晶核ができる速度などを計測した。これは、大気中の二酸化炭素を、炭酸カルシウム結晶として地中に効率よく固定・貯留する技術につながる実験。 S-520型観測ロケットは全長8.7m、、合計141kgの搭載機器を含む全備重量は2.3tになる。打ち上げ後238秒に高度312kmの最高点に達した後、内之浦南東海上に落下した。この間に実施した2つの実験はいずれも成功、これでJAXA宇宙科学研究所の平成24年度第2次観測ロケット実験は終了した。
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内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられたS-520型観測ロケット(提供:JAXA) |
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