(独)森林総合研究所は12月20日、福島県林業センターと協力して福島県内2カ所の渓流で計測した放射性セシウム濃度を発表した。
計測を行ったのは、同県北部の伊達市と飯舘村を流れている渓流で、今年の8月1日から10月31日まで毎日定時の午後2時と、降雨時1時間ごとの2通りの渓流水採取を行い、放射性のセシウム134、同137の濃度をゲルマニウム半導体検出器で測定した。
その結果、毎日定時に採取した175の全試料中6つの試料から1ℓ当たり1.1~6.8Bq(ベクレル)の放射性セシウム(セシウム134と同137)が検出された(飲料水の規格基準は1kg当たり10Bq)。これは、「3月から7月までの観測結果と同様の濃度だった」としている。
一方、降雨時に1時間ごとに採取した168の試料では、24の試料から1ℓ当たり1.1~48.5Bqの放射性セシウムが検出され、降雨による増水中に渓流水の放射性セシウム濃度が一時的に上昇する現象が見られたとしている。
放射性セシウムが検出された定時採取の6試料と降雨時採取の24試料には、懸濁物質が見られたことから、これらをろ過し、ろ液の放射性セシウム濃度を測定したところ、2試料から1ℓ当たり1.1~2.3Bqの放射性セシウムが検出された。
森林総研では、これまで3月~4月の融雪期、5月~7月の梅雨期の測定を行ってきた。降雨により増水したとみられる日に採取した渓流水から、融雪期で6地点342試料中9試料、梅雨期で3地点264試料中4試料から1ℓ当たり1Bq以上の放射性セシウムが検出されている。
こうしたことから森林総研では、放射性セシウムの検出は降雨による渓流水の流量増加のときに見られる一時的な懸濁物質の増加が主な理由と考えられるとしている。
No.2012-51
2012年12月17日~2012年12 月23 日