新型大気圏突入カプセル実験機の分離・射出に成功
―観測ロケットに搭載して打ち上げ
:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月7日、次世代の大気圏突入機の候補の1つ「インフレータブルカプセル」の小型実験機を搭載した観測ロケット「S-310」を同日、同機構の内之浦宇宙空間観測所(鹿児島・肝付町)から打ち上げ、計画通り同カプセルの分離・射出に成功したと発表した。
 インフレータブルカプセルは、ガスを注入して膨らませる膜構造(インフレータブル)の新型大気圏突入カプセル。たたんだ状態でロケットに搭載して打ち上げ、大気圏に再突入させる際ガスを内部に注入して膨らませる方式で、打ち上げ時にスペースをとらず、軌道上で大きく展開できることから次世代の大気圏突入機候補として期待されている。
 「S-310」41号機は、同日午後4時30分に打ち上げられ、発射から95秒後に搭載するインフレータブルカプセルへのガスの注入を開始し、直径120cmの円盤状に膨らませた後、高度約110kmで宇宙空間に射出。同カプセルは、飛行中の温度、圧力、加速度、姿勢などの観測データと画像データを地上局に送りながら落下を続け、高度55km付近で最大速度のマッハ4.45(音速の4.45倍)に達し、打ち上げから約25分後に着水し水没した。
 一方、「S-310」41号機は、191秒後に最高高度150kmに達した後、同観測所沖の海上に落下した。
 JAXAは、「S-310」41号機の打ち上げを当初7月10日に予定していたが、6月末に鹿児島県下を襲った豪雨で同観測所も施設設備に被害が生じ延期していた。

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ロケットランチャーに載せ、角度をつけられた「S-310」41号機(提供:宇宙航空研究開発機構)