自家受粉が可能なニホンナシ「なるみ」を開発
:農業・食品産業技術総合研究機構(2015年12月16日発表)

 (国)農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所は12月16日、自らの花粉で結実する自家受粉が可能なニホンナシ「なるみ」を開発したと発表した。

 受粉は、花のメシベの先端(柱頭)に花粉が付着することで、自分自身の花粉による受粉を自家受粉というが、ニホンナシの主要品種はその自らの花粉で結実する自家受粉ができず、人工受粉によって作られている。

 しかし、人工受粉には、他の品種の花粉を用意する必要がある上、開花の期間が短く作業を短期間に集中して行わないとならないため、受粉作業は農家にとって大きな負担になっている。

 農研機構が今回開発した「なるみ」は、自家受粉で正常に受精して結実する自家和合性を示し、「人工受粉しなくても十分な結実が見込める」という。

 現在、早生(わせ)品種の「幸水」に次いで広く栽培されているニホンナシは、中生(なかて)品種の「豊水」だが、「なるみ」も中生品種で、開花期・収穫期のいずれも「豊水」と同時期。「なるみ」の果実は、重さが600g程度と「豊水」より大きく、果肉が軟らかく、肉質良好で、「豊水」と同程度の甘みを持っている。

 農研機構は、「全国のニホンナシ栽培地帯で栽培が可能」とみており、「平成28年の秋から苗木の販売が行なわれる見込み」といっている。

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 * pHは酸味の指標であり、低いほど酸味が強い
「なるみ」の果実特性(提供:(国)農業・食品産業技術総合研究機構)