(独)農業生物資源研究所(生物研)は3月10日、隔離圃場(ほじょう)を使って平成27年度に行う遺伝子組み換え作物の栽培実験計画を発表した。
それによると、栽培実験を行うのは、スギ花粉ペプチド含有イネ、スギ花粉症治療イネ、葉緑体形質転換タバコの3種で、同日それぞれの栽培実験計画書を国の「第1種使用規程承認組み換え作物栽培実験指針」に基づき、同研究所のホームページに掲載。3月26日午後1時30分から、つくば市(茨城)観音台の同研究所で説明会を実施する。
栽培を行うのは、つくば市(茨城)にある生物研などの隔離圃場で、栽培面積は最も広いスギ花粉症治療イネで2,078㎡。
それぞれの栽培実験の概要は次の通り。
▽スギ花粉ペプチド含有イネ
栽培するのは、生物研が遺伝子組み換え技術を用いて開発したスギ花粉症治療薬の候補として期待されているイネ。将来の治験に向けたデータ集積のための試料を確保しようと栽培するもので、栽培は、4月上旬~9月下旬の予定。(独)農業・食品産業技術総合研究機構作物研究所の高機能隔離圃場約1000㎡で行われる。
▽スギ花粉症治療イネ
このイネも生物研が遺伝子組み換え技術で開発したスギ花粉症治療薬候補の一つで、収穫物を医薬品加工プロセスの開発や、スギ花粉症治療米の有効性・安全性の評価に使う。栽培は、5月~10月。生物研の隔離水田2,078㎡で実施。
▽葉緑体形質転換タバコ
生物研が遺伝子組み換え技術を使って開発した殺虫性のタンパク質を作るタバコの新種。野外栽培の生育性などを評価する目的で(独)農業環境技術研究所の隔離圃場483㎡を使って栽培する。その隔離圃場は、最も近い葉タバコ農家から5km以上離れているという。