高エネルギー加速器研究機構は2月27日、同機構素粒子原子核研究所の小林隆教授が「第6回戸塚洋二賞」を受賞したと発表した。
この賞は、中性微子とも呼ばれる中性の素粒子「ニュートリノ」の研究で優れた功績をあげた研究者に(公財)平成基礎科学財団が贈っている。今回の受賞は、小林教授が率いる「T2K実験」の成果が評価された。
この実験は、J-PARC(大強度陽子加速器施設:茨城県東海村)の加速器で作られたニュートリノを295km離れた飛騨市神岡町(岐阜)のスーパーカミオカンデ検出器で捉え、飛行中に別の種類のニュートリノに変わる「ニュートリノ振動現象」を観測するという実験。
受賞対象となったのは、T2K実験の成果「加速器ミューニュートリノビームによる電子ニュートリノ出現現象の発見」で、これによりニュートリノ振動の全体像がほぼ明らかになったといわれている。この賞は、小林教授のほか同実験グループの中家剛教授(京都大学)と塩澤真人教授(東京大学)にも贈られた。