放牧家畜向けに自動供水システムを開発
―太陽光発電と揚水ポンプを組み合わせ
:畜産草地研究所(2015年2月25日発表)

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構の畜産草地研究所は2月25日、太陽光発電を利用した放牧家畜飲水の自動供給システムを開発したと発表した。近くに水源の無い土地や水源はあっても汲み上げが必要な場所で、家畜に適量の水を自動供給でき、耕作放棄地などでの放牧の推進に役立つという。

 

■耕作放棄地などでの放牧推進に一役

 

 開発したのは、太陽光発電を利用した電気牧柵システムに、直流電源で駆動する揚水ポンプを組み合わせたシステム。

 電気牧柵システムは放牧地に電牧線をめぐらし、パルス電流を流して家畜の脱出を防ぐようにしたもの。ソーラーパネル、蓄電池、電気牧柵器などから成る。近年電気牧柵システムの導入が増えてきたことから、これに着目し、ソーラーパネルで発電した電力を活用して揚水ポンプを駆動・給水するシステムを作製した。

 揚水ポンプは100m離れた高さ20mの場所に1時間当たり約400ℓの水を送ることができ、これは放牧頭数4頭の放牧地では1日わずか30分のポンプ駆動で必要水量を供給できる能力という。電気牧柵システム、蓄電池、飲水器、配管資材を除く導入コストは約6万円という。

 取水・給水に手間のかかる土地で、飲水管理の省力化が図れることから、今後、システム導入法などに関する講習会を開いて普及を図っていきたいとしている。

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新給水システムの概念図(提供:(独)農業・食品産業技術総合研究機構)