国土交通省の国土技術政策総合研究所は2月24、25日、下水処理場の消費電力大幅削減を目指す3つの実証施設が稼働したと発表した。
下水処理場では、微生物により汚れを除去しており、微生物の繁殖・活性化に必要な空気を送り込む「ばっ気」に大量の電気が必要となる。
国総研は、「下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)」としてばっ気に要する電力を大幅削減する技術開発を進めており、その実証施設が土浦市(茨城)、小郡市(福岡)、高知市で相次いで完成し、稼働を開始した。
土浦市と小郡市の実証施設は、ICT(情報通信技術)を活用して電力消費量を低減する方式。両方とも既存の施設にセンサーと制御技術からなるICTを導入してばっ気の送風量をリアルタイムに予測し、制御する方式で、「既存の下水処理場に僅かな改良を加えるだけでよい」(国総研)という。
一方、高知市の実証施設は、①高効率固液分離技術による効率的な汚濁負荷除去、②処理水循環を行う新型ろ材を充填した散水ろ床型反応槽、➂最終沈殿池代替高速固液分離装置の組み合わせにより、無ばっ気で有機物除去を行う方式。
ばっ気用の動力がほぼ不要になることで「下水処理の消費電力を最大70%削減できる」(国総研)という。