
作製した単結晶ダイヤモンドウエハー。左上は種結晶(提供:産業技術総合研究所)
(独)産業技術総合研究所は9月29日、種(たね)結晶から直接薄板状の単結晶ダイヤモンドウエハーを作るダイレクトウエハー化技術を用いることにより、欠陥が極めて少ないダイヤモンドウエハーをコピー生産できることを実証したと発表した。結晶性が同等の高品質ウエハーを大量製造できる可能性を示すもので、ダイヤモンドの半導体としての利用促進が期待できるという。
■欠陥密度二桁近く低く
ダイヤモンドは優れた半導体特性を持ち、特にパワーエレクトロニクス分野でシリコンに代わる半導体材料として期待されている。それを実現する課題の一つが、半導体素子の基板となる単結晶ウエハーの製造で、大面積で欠陥の少ないウエハーの量産化が求められている。
ダイヤモンド半導体の研究開発に取り組んでいる産総研の研究チームは先に、種結晶をあたかもコピーするようにウエハー(薄板状の単結晶)を作製するダイレクトウエハー化技術を開発、今回はこの技術を用いてウエハーの低欠陥化に取り組んだ。
まず、欠陥が極めて少ないダイヤモンドを種結晶として用い、これまでのダイレクトウエハー化プロセスに、基板表面の損傷を払しょくする基板表面エッチング工程を導入、また、結晶成長工程を結晶層の歪みを抑えられるように改良、これらの改善を加えたプロセスでウエハーを作製した。
その結果、これまでより二桁近く欠陥密度が低い単結晶ダイヤモンドウエハーを作製できた。これはダイレクトウエハー化技術によるウエハーの低欠陥コピーが可能であることを示す成果という。
今後は低欠陥化をさらに進めるとともにウエハーの大型化などを図り、高性能パワーデバイスの開発につなげたいとしている。