サハラ砂漠で新しい「綱」の微生物を発見
―従来の分類超え、「オリゴフレキシア綱」と命名
:広島大学/筑波大学/テクノスルガ・ラボほか(2014年10月2日発表)

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発見された新しい綱の微生物の光学顕微鏡写真(提供:筑波大学)

 広島大学、筑波大学、理化学分析会社の(株)テクノスルガ・ラボは10月2日、サハラ砂漠で系統学的にまったく新しい微生物を発見したと発表した。ヒトは生物分類学上で哺乳動物綱に分類されるが、新微生物はこれと同じ「綱」のレベルで新種であることを確認した。99%以上が未知とされる微生物の世界に存在する膨大な多様性の解明につながると期待している。

 

■フィルターすりぬけ、生物学の常識覆す

 

 広島大の長沼毅教授らの研究グループが地中海に面するチュニジア共和国のサハラ砂漠で採取した砂れきから採取、分離培養に成功した。さらに筑波大の礒田博子教授、テクノスルガ・ラボ、チュニジアのスファックス・バイオテクノロジー・センター(CBS)と共同で遺伝子解析など詳細な分類学的な解析を進めた。

 その結果、この微生物の分類学上の系統を新たに「オリゴフレキシア綱」と名付けた。生物分類学で「綱」は、ヒトが脊椎動物門哺乳動物綱と分類されるように「門」の下位の分類に相当する。新微生物は大腸菌や酢酸菌などが属する、微生物の世界で最も多様で巨大なプロバクテリア門のどの綱の微生物とも近縁ではなかったため、新たな綱を設けて分類した。

 発見した微生物は、大きさが1万分の2mm以下だった。微生物を分離するために砂れきを水で溶いた懸濁液を1万分の2mmという微細な孔のあいたフィルターでろ過したが、この微細な孔を通り抜けたことで大きさを確認した。従来はこれほど小さい微生物は存在しないと考えられており、その点でも生物学の常識を覆すものだった。

 研究グループは、オリゴフレキシア綱にはほかにもさまざまな環境に分布する未知の微生物が属しているとみている。そのため今後さらに未知の微生物の探索を続け、オリゴフレキシア綱の微生物が果たしている生態学的な役割を解明したいとしている。

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