(独)国立環境研究所は3月26日、淡水域の生態系の指標生物として注目されている「ユスリカ」の種を判別する基礎情報になる「ユスリカ標本DNA(デオキシリボ核酸)データベース」を同日ウェブサイトで公開したと発表した。信州大学、広島大学などの研究者との共同研究によるもの。
URLは、http://www.nies.go.jp/yusurika/index.html。

アカムシユスリカの幼虫。霞ヶ浦や児島湖のような富栄養湖の指標種で、霞ヶ浦の場合11~3月に見られる。体長は十分成長した終齢幼虫で2cm前後(提供:国立環境研究所)
ユスリカは、和名で、カ(蚊)やハエと同じ「ハエ目(はえもく)」の昆虫。幼虫の時に水中で体を揺するように動かすところからその名が付けられたといわれ、成虫は一見カに姿が似ているが、人を刺したりはしない。
ユスリカは、幅広い環境に生息し、幼虫がその生息環境の水質に対し敏感に応答することから水質の指標生物として、また水中の有機物を分解する水質浄化機能を持った生物として世界的に注目されている。
しかし、水の中にいるユスリカの幼虫の種を同定するのは難しく、ユスリカを水質指標として扱うには、幼虫の種を簡便に同定する方法の開発が必要といわれている。
同研究所は、「DNAバーコーディング」と呼ばれる種同定技術を取り入れ、ユスリカの種ごとに、同定の基準となるDNAの塩基配列情報を整備して「ユスリカ標本DNAデータベース」を作成、公開したもので、これを基準にすればユスリカの幼虫の種を「専門家でなくても同定できるようになる」(同研究所)という。
公開したのは、43種のユスリカのDNAデータベースだが、さらに100種の情報を整備し、公開していくとしている。