(独)農業・食品産業技術総合研究機構は3月28日、北海道立総合研究機構と共同で病害に強いサイレージ用トウモロコシの新品種を開発したと発表した。
この新品種、サイレージ用トウモロコシの重要病害「すす紋病(すすもんびょう)」に対する抵抗性が“極強”で、名称は「きよら」。農研機構は、今年の2月に「きよら」の品種登録を終えている。
サイレージ用トウモロコシは、実(子実)だけでなく茎など地上部分を全部刈り取って飼料にする品種。牛用飼料として広く栽培されているが、近年、すす紋病、赤かび病、根腐れ病などの発生が増加し、これらの病害に強い抵抗性を示す品種の開発が求められている。
その一つ、すす紋病は、糸状菌により葉が枯れる病害。北海道のような冷涼地でのサイレージ用トウモロコシ栽培で発生する代表的病害で、大発生すると圃場(ほじょう)全体が枯れてしまう。
北海道は、サイレージ用トウモロコシの一大産地。その栽培面積は、約4万8,300ha(ヘクタール、1haは1万㎡)と日本全体の50%強を占めているだけに、新品種「きよら」の出現は北海道にとって朗報で、「道央北部、十勝中部、北見・網走内陸部が栽培適地」と農研機構はいっている。
「きよら」は、すす紋病への抵抗性が強いだけでなく、耐冷性も優れている。収量は、これまでの品種と同程度。
「きよら」の種子は、日本草地畜産種子協会から飼料作物を扱う種苗会社各社を通じて5月頃から販売される予定。
No.2014-12
2014年3月24日~2014年3月30日