(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月25日、新たに開発する基幹ロケット「H‐Ⅲ」(仮称)の主担当に三菱重工業(株)を選んだと発表した。「H‐Ⅲ」は現在の基幹ロケット「H‐Ⅱ」の後継機となるロケットで、三菱重工(株)が開発の主体となってロケットの仕様などを取りまとめ、平成26年度当初から開発に着手、同32年度試験機打ち上げを目指す。
■費用半減を目標に
JAXAの案では、新ロケットは全長約60mの2段式で、わが国が得意としてきた液体水素を燃料とするロケットエンジンを1段目と2段目に使用。イプシロンロケットで培われた固体燃料ブースターを補助ロケットとして6本まで付けられるようにして最大6.5tまでの静止衛星の打ち上げができる。
さらに、その打ち上げ費用を100億円ともいわれる現在の「H‐ⅡA」ロケットのほぼ半分にするのが目標だ。新ロケットは、全シリーズで液体ロケットを共通仕様として製造や運用を効率化、固体ロケットの本数を調整することで多様な打ち上げ用途に柔軟に対応出来るようにする。
これまでわが国の基幹ロケット開発は、JAXAが主体だった。しかし今後、わが国の衛星ばかりでなく、海外の衛星も打ち上げるためには打ち上げ費用のコストダウンが必須の条件で、そのためには打ち上げシステム全体を刷新するとともに、民間業者主体の開発体制確立のため、JAXAが今年2月末から公募を進めていた。