(独)農業・食品産業技術総合研究機構の中央農業総合研究センターは3月19日、畑の土壌中に含まれる肥料成分のリン酸を安全、簡単、低コストで分析できる新しい測定法を開発し、その詳細と施設キュウリ栽培に利用する方法などを解説したマニュアルを公開したと発表した。
公開したマニュアルのURLは、
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/laboratory/narc/049971.html。

現状のリン酸の土壌診断法(左)と、新たな現場型評価法(右)の概要・特徴(提供:中央農業総合研究センター)
畑の養分状態を把握して施肥を行うには、農家など農業の現場で簡単に診断結果が得られることが望ましい。
しかし、現在、畑用に使われている「モリブデン青法」と呼ばれるリン酸測定法は、振とう機にかけて土壌からリン酸分を抽出し、強酸や重金属を含む試薬による化学反応を起こさせた後、機器分析にかける方法で、振とう機などない農業現場では利用できない。
今回の新測定法は、実験設備のない農業現場でも使えるようにしようと開発したもので、採取した土壌を水の中に入れて静置し、毒劇物を含まない簡易測定キットを使って反応させた後、簡易吸光度計で水に溶けているリン酸分を計測するという方法で、振とう機を不要にした。
市販の簡易吸光度計を使って簡単にリン酸分を数値化でき、既存の「モリブデン青法」とほぼ同じ測定結果が得られることを確認している。
同機構では、「講習会などを活用してこの技術の普及を図りながら、マニュアルの内容を充実させる予定」といっている。