(独)農業・食品産業技術総合研究機構の中央農業総合研究センターと井関農機(株)は3月18日、露地での野菜栽培で専用機器を使って畑の土を盛り上げた「うね」の中央部だけに肥料を線状に土壌と混合して施せば、肥料の量をこれまでのやり方の3~5割削減できると発表した。北海道から沖縄まで全国22道県の40カ所以上の農場で行ってきた実験の結果で、こうした専用機は、「うね」の形状などに応じた5種類が既に市販されている。
■うねの形状に応じ5種類が市販
これまでのキャベツ、白菜などの大規模な露地野菜栽培では、肥料を畑全面に撒いてから土壌と混ぜ合わせるのが一般的な肥料の施し方だった。しかし、この方法では野菜が育つ部分以外の所まで肥料を施すことになり、その分が無駄になり、環境への負荷もかかる。
そこで同研究センターは、平成13年度から露地野菜作りでの肥料の使用量を減らし、生産コスト削減と環境負荷低減を狙って今回の研究をスタートさせた。
同16年度に基本技術が完成、同17年度から井関農機と共同で専用機器の開発を始め、同20年度の「3条うね」用を第1号に、これまで5種類の専用機器が発売されている。
この肥料のやり方は、専用機器をトラクターに装着して行う。容器から繰り出された肥料は1うね当たり2枚セットされたディスク(板)の前方へ散布され、うね中央部の苗を植える部分にだけ線状に撒かれる。ディスク間の耕うん爪により肥料は横方向へ逃げることなく土壌と攪拌され、その後に「うね」が形成される。
全国43カ所での実証実験では試験したキャベツ、白菜、レタス、大根、ニンジン、大豆、枝豆等から花き類まで、ほとんど全ての作物で肥料の量を30~50%削減しても、従来とほぼ同じ生育・収量が得られるのが確認された。

うね内部分施用法による資材混合状況と施用範囲(注:平うねは一般的な平うね2条栽培の場合で、混合域は片側のみ可視化)(提供:中央農業総合研究センター)