(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月20日、地球を周回している国際宇宙ステーション(ISS)の日本の宇宙実験棟「きぼう」を使って高品質のタンパク質結晶を作る第2期宇宙実験の1回目の実験に中外製薬(株)、インタープロテイン(株)の民間企業2社と東京大学など18の大学・研究機関(1大学で複数機関の参加あり)の参加が決まったと発表した。
■微小重力下でこその実験
地上約400kmの上空を飛行する「きぼう」で日本が宇宙実験を開始したのは2008年8月。
以来、「きぼう」内の無重力に近い微小重力環境を利用してさまざまな宇宙実験を行ってきたが、中でも力を入れてきた一つがタンパク質結晶の生成実験。
微小重力下では、密度の違いによる溶液の対流や、重いものを沈下させる沈降がないためタンパク質分子が規則正しく並んで高品質な結晶が得られるからで、JAXAは「きぼう」を使って2009年から「高品質タンパク質生成実験(PCG)」の第1期実験シリーズとして昨年(2013年)までに6回の宇宙実験を行っている。
JAXAは、今年からそれに続くPCGの第2期実験シリーズを開始して、6回宇宙実験を実施する予定で、その1回目実験への参加機関を公募し発表したもの。
今回行う宇宙実験の材料は、ロシアのソユーズ宇宙船でISSに運び、「きぼう」での高品質タンパク質生成実験は、ISSに長期滞在中の若田光一宇宙飛行士が担当する。
中外製薬、インタープロテインの両社は、宇宙実験で作られたそれぞれの高品質タンパク質結晶を最新の技術で解析して精密な立体構造データを取得し創薬に結びつけたいと期待している。
参加が決まった大学・研究機関は、次の通り。
▽東京大学、▽筑波大学、▽京都大学、▽群馬大学、▽福井県立大学、▽中央大学、▽岩手医科大学、▽兵庫県立大学、▽大阪大学、▽いわき明星大学、▽神奈川科学技術アカデミー、▽長崎国際大学、▽京都工芸繊維大学、▽熊本大学、▽香川大学