(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と(株)ヤクルト本社は3月19日、宇宙空間での乳酸菌の継続的摂取が人間に与える効果について4月から共同研究を開始すると発表した。国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在する宇宙飛行士に乳酸菌を含む食品を食べてもらい、免疫機能や腸内環境への影響を調べる。
■4月から6年間共同研究
共同研究の期間は2014~2020年の6年間。ヤクルトが独自に開発した「ラクトバチルス カゼイ シロタ株」と呼ぶ乳酸菌を機能性宇宙食などとして生きたまま宇宙ステーションに運び、長期滞在する宇宙飛行士に食べてもらう。
宇宙飛行士は微小重力や放射線、宇宙船内の閉鎖空間といった過酷な環境の下でさまざまな作業をこなすが、免疫機能や骨密度の低下、筋肉の力が弱まるなどのリスクにもさらされることが知られている。
このためJAXAは、7年前に宇宙医学生物学研究室を設立、宇宙空間での長期滞在が宇宙飛行士の心身に与える影響について研究を進めてきた。一方、ヤクルトは地上で実証されている乳酸菌摂取による免疫力の回復・維持などの効果を宇宙で検証するための研究会を立ち上げ、JAXAとの共同研究の可能性を探ってきた。
今回、ヤクルトの腸内細菌研究のノウハウと、JAXAが積み上げてきた宇宙医学生物学や実験技術の成果を組み合わせることで、宇宙飛行士の健康管理や生命科学の発展が期待できるとして共同研究に合意した。
JAXAとヤクルトは、「宇宙飛行士のパフォーマンスを最大限に発揮させるだけでなく、地上での応用も期待される宇宙医学の発展に貢献していきたい」と話している。