
開発した超小型LED励起蛍光検出装置の外観(外寸40×40×20mm)(提供:産業技術総合研究所)
(独)産業技術総合研究所は3月17日、バイオ分析向けの超小型蛍光検出装置を開発したと発表した。ごく微小量の血液などで疾患の状態を迅速、簡便に“その場診断”するポイント・オブ・ケア(POC)診断のキーテクノロジーとして期待できるという。
■半導体加工技術を駆使
開発した蛍光検出装置は、微小量の流体を操作するマイクロ流体工学を用いて免疫定量などのバイオ分析を行うマイクロ流体バイオチップと組み合わせて使用する装置。
生体分子に蛍光色素を付着させておいて光を当て、分子から発せられる蛍光をキャッチして目的とする生体分子を選択的に検出する働きをする。
蛍光検出にはこれまで共焦点レーザー励起蛍光顕微鏡のような大型の装置が用いられてきたが、研究チームは今回、POC診断やウエアラブルな健康モニタリングデバイスの開発を可能とする超小型装置を作製した。
新装置は、生体分子に光を照射する面発光マイクロLED光源、発せられた蛍光を吸収し電流に変換するアモルファスシリコン製フォトダイオード、特定の波長帯域の光を透過・遮光する光学フィルターなどを集積、一体化したもので、半導体微細加工技術を用いて作製した。
面発光マイクロLEDから出た光は、非球面マイクロレンズで集光されてバイオチップのマイクロ流路へと導かれ、バイオ分析に必要な光量を確保しながら低散乱で対象物に照射される。
これまでの実験で新装置は、臨床検査で重要なイムノアッセイ(自己免疫疾患や感染症、アレルギーなどの検査に用いられる免疫定量法)を行えることが確かめられたという。今後は性能を一層高め、POC診断への早期実用化を目指したいとしている。