パソコンに取り付けるだけでウイルスなどを防御
―ソフトのインストール不要のデバイスを開発
:産業技術総合研究所/制御システムセキュリティセンター

 (独)産業技術総合研究所は2月14日、技術研究組合の制御システムセキュリティセンターと共同で、パソコンなどシステム本体に取り付けるだけでウイルスの侵入を防げる安全装置を開発したと発表した。USBメモリーやネット通信用機器など外付け装置と本体の間にセットするだけでよく、面倒なソフトのインストールをしなくても本体内部の重要なデータが守れる。今後は防御機能をさらに高め、一般ユーザー向けに小型化を進める。

 

■一般向けへ小型化進める

 

 産総研の戸田賢二主任研究員らが、技術研究組合の制御システムセキュリティセンターと共同で開発した。
 新装置はSBD(セキュリティーバリアデバイス)と呼ばれ、パソコンのほかサーバーや様々な機器の制御システムなどに使える。これらのシステム本体には外付け装置を取り付けるための入出力端子が設けられているおり、新装置はこの端子に差し込んで外付け装置との間に割り込ませるだけで使える。
 新装置の特徴は、パソコンなどシステム本体の記憶装置には手を加えることなく、そこに記憶されている重要な情報をウイルスなどの外部からの攻撃から守れること。OSやアプリケーションソフトなどシステム本体を機能させるオリジナルなファイルやデータを守ることができるため、OSを再起動するだけで即座にシステム本来の業務や制御・監視などの機能を再開できる。
 また、ウイルスの侵入など不正アクセスを検出すると同時に外部との通信を遮断できるので、システム本体の不正な遠隔操作を絶ち切ったり、それ以上の侵入や他への感染、機密情報の漏えいを防いだりできる。
 今回開発したのは試作機で、縦10cm、横23cmというデスクトップパソコンほどの大きさがある。一般向けには小型化が必要なため、研究グループは今後、記憶装置メーカーと連携して現在市販されている外付けの記憶装置と同程度にまで小型化を進めたいとしている。

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開発したセキュリティバリアデバイス(左)とSBD用FPGAボード(右)(提供:産業技術総合研究所)