水観測衛星「しずく」のデータ提供開始
―地球環境の長期観測に一役
:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月25日、昨年5月に高度700kmの地球を回る軌道上に打ち上げた第一期水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1)の観測データを研究機関や気象予報事業者向けなどに広く提供を始めたと発表した。「しずく」のデータ提供に関するホームページを通じてユーザー登録するだけで、だれでもダウンロードできる。
 「しずく」は、地球の水の循環と気候変動を観測することを狙いとした衛星。地表や海面、大気から自然に放出される微弱な電磁波である「マイクロ波」を衛星のアンテナでとらえて、その強度分布などから地上の降水量や水蒸気量、陸地の水分量、積雪深度、海洋上の風速や水温など8種類の情報を調べることができる。地球を回りながら、2日間で地球上の99%の領域を観測する。 
 今回提供を開始したのは、アンテナがとらえたマイクロ波の生データに補正処理を加えた「輝度温度プロダクト」と呼ぶデータ。アンテナは6つの周波数帯のマイクロ波を捉えることができるため、いくつかの周波数帯のデータを組み合わせることによって、降水量や水蒸気量など最終的に必要な8種類の情報を算出することができる。今年5月には、これら8種類の情報についても提供を開始する予定だ。
 「しずく」は、JAXAが地球環境の変動を長期的に観測するために進めている「地球環境変動観測ミッション(GCOM)」の一環として打ち上げられた衛星の第1号。同ミッションでは、今回の「しずく」も含めて水循環変動観測衛星が合計3基、さらに気候変動観測衛星3基の打ち上げも計画されており、全6基体制で10~15年の長期にわたる地球環境の変動を観測する計画になっている。

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地上の水分量などを観測してデータを送る「しずく」(提供:JAXA)