柔らかく熱に強い多孔体の製造技術を開発
―断熱材や電子材料などの用途開拓に有望
:産業技術総合研究所/ユニチカ

 (独)産業技術総合研究所とユニチカは1月21日、ポリイミドとシリカから成る柔軟で耐熱性の高いナノコンポジット多孔体を製造する技術を開発したと発表した。この製法で得られる多孔体は、数十nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)の微細孔と高い空隙率を持ち、耐薬品性や機械的強度にも優れる。断熱材や電子材料などの用途開拓が期待できるという。
 断熱材料や低誘電材料として多孔質ポリイミドが注目されているが、近年、性能の一層の向上のため、より高い空隙率を持ち、機械的強度や断熱性能も備えた新たな多孔体が求められている。熱に弱い発泡ポリマー系断熱材や、柔軟性、耐衝撃性などに欠けるセラミックス系断熱材などに代わる高性能断熱材の開発もその狙いの一つ。
 研究チームが今回開発した技術はこうした要請に応えたもので、柔らかく自在に変形し、数百℃の高温にも耐え、機械的強度にも優れる多孔体の製造を可能にした。
 具体的にはポリイミドの原料となるポリアミック酸と、シリカの原料となるシリコンアルコキシドを混ぜた溶液に、高圧二酸化炭素を溶解させ、減圧する。これによって数十nmの微細孔を持ち、空隙率の高いナノコンポジット多孔体を得る。
 研究チームは今後、性能の一層の向上と量産技術の開発を進め、5年以内の実用化を目指したいとしている。

詳しくはこちら