室温成形性を高める圧延法を開発
―制振マグネシウム合金、既存の装置で容易に
:産業技術総合研究所/京都大学

 (独)産業技術総合研究所は1月24日、マグネシウム合金のプレス成形性を高める圧延法を京都大学と共同で開発したと発表した。熱処理(焼鈍)と圧延を繰り返して圧延材の結晶の向きを制御し、変形しやすくした。既存の圧延装置でプレス成形性に優れた制振マグネシウム合金圧延材を製造できるという。
 マグネシウムは、振動の減衰指標である固有減衰能が実用金属の中では最も大きく、スピーカーの振動板や音響ケーブルの制振部材などに純マグネシウムや制振マグネシウム合金が用いられている。ただ、純マグネシウムや制振マグネシウム合金は、室温での成形性がアルミニウムや鉄鋼材料に比べて著しく低く、室温でプレス成形体を生産できない。また、250℃以上に加熱する温間プレス成形も難しく、成形性の改善が課題とされていた。
 今回開発した圧延技術は、500℃程度の高温熱処理と200℃程度の温間圧延を繰り返すというもので、これにより結晶が配向した集合組織の形成が抑制され、アルミニウム合金に迫る室温成形性が得られる。
 この圧延法で製作した圧延材は制振特性が優れ、通常のプレス成形によって制振マグネシウム合金製部材が容易に作れるため、加工コストの低減や生産性の向上が期待できるという。

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