(独)農業・食品産業技術総合研究機構の中央農業総合研究センターは8月31日、放射性物質に汚染された農地の表土を深土と入れ替える反転耕と呼ばれる農作業を行なう農機具「除染用反転耕プラウ」を開発、合わせてそれを運用するための冊子を作成したと発表した。
プラウは、草や肥料の埋設を行なうのに広く使われている犂(すき)の一種。プラウを使えば放射性物質で汚染された表土を下層に移すことができるため、農地除染の有力な方法の一つと見られている。
しかし、通常のプラウには、表土の一部が浅い層に時として残ってしまう難点があり、その解決が求められていた。
新プラウは、表土を確実に深部に埋設でき、作成した冊子「除染用反転耕プラウの開発とその利用」にそって運用することで、放射性物質に汚染された農地表土の除染が行なえるようにした。新プラウを使うと農地表土の埋設深さが一般的なプラウより約6cm深くなることを確認している。
東京電力福島第一原子力発電所の事故で放射性物質を浴びた農地で行なった現地実証試験では、事故後耕していない農地の場合、新プラウを使って反転耕を行うことにより空間線量率(対象とする空間の単位時間当たりの放射線量)が5分の1以下に下がったという。
No.2012-35
2012年8月27日~2012年9月2日