セシウム検査に認証標準の玄米を開発
:産業技術総合研究所/食品総合研究所

 (独)産業技術総合研究所(産総研)と(独)農業・食品産業技術総合研究機構の食品総合研究所(食総研)は8月30日、放射性セシウムを含む玄米の放射能濃度測定のための認証標準物質を共同で開発したと発表した。コメの放射能検査をしている自治体など検査機関の測定装置が正しく放射能を測定しているかどうか検証するのに使う。開発した認証標準物質は、8月31日から委託事業者を通じて1個1万円程度で販売する。
 今回の開発では、食総研が昨年の東日本大震災での東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性セシウムを含む約60kgの2011年産玄米をよく混ぜて均質化、外径・高さとも55mm容器に81gずつ詰めて試料とした。この試料を産総研のゲルマニウム半導体検出器で放射能測定した結果、標準物質となる玄米の放射能濃度は、セシウム134と同137の合計で1kg当たり約85ベクレルだった。
 試料の作製は、認証標準物質生産に関する国際規格に従った。この標準物質の放射能濃度は、厚生労働省による一般食品の放射性セシウムの基準値である1kg当たり100ベクレルよりも低い。従って、検査機関の測定器が、この標準物質の放射能を正しく測定出来るなら、基準値を超える食品の放射性セシウムを正確に測定していることになり、放射能検査機関における測定の妥当性確認と信頼性向上に貢献する。

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放射性セシウムを含む玄米の認証標準物質(提供:産業技術装具研究所)