(独)農業生物資源研究所は8月27日、イネの3大病といわれる、いもち病、ゴマ葉枯れ病、紋枯れ病のいずれにも強い抵抗性を示すイネを作ることに成功したと発表した。 イネが3大病にかかるのは、いもち病菌、ゴマ葉枯れ病菌、紋枯れ病菌のそれぞれ表面が、イネの持つ自然免疫では分解できない「α-1、3-グルカン」と呼ばれる多糖で覆われているために感染してしまうことをつきとめ、その多糖を分解する酵素の遺伝子をイネに組み込んで、3大病原菌に強い抵抗性を示すイネを実現した。 菌体の表面を覆っているα-1、3-グルカンを除去した、いもち病菌、ゴマ葉枯れ病菌、紋枯れ病菌をイネの自然免疫が迅速に攻撃することも分かったという。 品種改良によりいもち病に強いイネは作られているが、いもち病菌にはイネへの感染性が異なる菌が多く、すべてのいもち病菌に強いイネを品種改良で育成するのは、現実的に難しいとされている。一方、ゴマ葉枯れ病、紋枯れ病に強いイネは、まだ開発されていない。 今回の成果がイネの3大病克服の突破口になるのでは、と関係者は期待している。 イネに限らず植物は、α-1、3-グルカンを分解する酵素を持っていないことから、「いもち病菌、ゴマ葉枯れ病菌、紋枯れ病菌と同様、多くの植物病原性菌類がα-1、3-グルカンを利用して植物に感染していると推測される」と同研究所はいっている。
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写真はいずれも左側が非組換えイネ、右側2例がα-1、3-グルカン分解酵素遺伝子を導入した組換えイネ(提供:農業生物資源研究所) |
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