(独)産業技術総合研究所は8月29日、曲のサビ、ビート、メロディ、コードを自動解析して視覚的に表示したり、サビ出しをしたりすることができる音楽鑑賞システムを開発、このシステムによる鑑賞サービスを「Songle(ソングル)」と名付けて同日一般公開(http://songle.jp)したと発表した。インターネット上の音楽コンテンツをより豊かに能動的に鑑賞したり、音楽をより深く理解したりするのに役立つという。
インターネット上には膨大な楽曲があり、曲名やアーティスト名などの書誌情報で検索したり、あるいは視聴履歴などから好みの楽曲にアクセスしたりすることが可能になっている。これにより様々な曲を手軽に引き出して楽しめるが、それぞれの楽曲を深く理解するための技術やサービスはあまり開発されていない。
音楽理解技術を研究している産総研のチームは、インターネット上にあるポピュラー音楽を対象に、楽曲の中身(サビ、ビート、メロディ、コード)を自動解析するシステムの開発に取り組み、今回、解析結果を「音楽地図」として可視化する機能や、楽曲中で盛り上がる代表的な個所を見つけるサビ出し機能などを備えた音楽鑑賞システムを開発、Web上のサービスとして公開した。
ユーザーがサイトに公開されているポピュラー音楽の楽曲をSongleに登録すると、Songleがその楽曲の中身を[1]楽曲構造(サビ区間と繰り返し区間)、[2]ビート構造(拍と小節の先頭)、[3]メロディ(歌声の音高)、[4]コード(根音とコードタイプ)の4つの代表的な音楽要素について自動解析する。Songleにいったん登録された曲をユーザーが選ぶと、自動解析結果を様々な形式で可視化した画面が表示され、ユーザーはそれを見ながらその曲を鑑賞できる。
サビ出し機能のほか、同一のコード進行を持つ複数の楽曲を聴き比べることができるコード進行検索機能、ユーザーが自分のホームページやブログなどの外部のウエブページ内にSongleの小型プレーヤーを埋め込んで、Songle上の楽曲を紹介できる外部埋め込みプレーヤー機能、さらに自動解析の誤りをユーザーが自発的に訂正できるインタフェースなども組み込んである。
産総研では今後、産業界と連携してこの鑑賞システムを実用化し、音楽情報検索や音楽推薦、音楽配信サービスなど様々な応用に展開していきたいとしている。
No.2012-35
2012年8月27日~2012年9月2日