(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月1日、次世代の大気突入機候補の一つ「エアロシェル」の打ち上げを観測ロケット「S-310」41号機を使って7月10日に同機構内之浦宇宙空間観測所(鹿児島・肝付町)で行うと発表した。 エアロシェルは、宇宙機器が大気圏突入時に受ける熱と圧力から機体を保護すると共に、突入速度を遅くするシールド(覆い)のことで、NASA(米航空宇宙局)のアポロ計画など多くの宇宙ミッションに使われている。 今回打ち上げるエアロシェルは、「柔軟エアロシェル」と呼ばれる柔らかな膜でできたタイプ。ロケット先端部に折りたたんでコンパクトに収納しておき、大気圏再突入時にガスを内部に注入して膨らませ目的の形状・大きさに展開する方式。 エアロシェル実験機の展開後(ガス注入後)の形は、円盤状で、外径は120cm。打ち上げから90秒後、高度約100kmでガスを注入、同100秒後、同約110kmでロケットから射出し、大気圏突入飛行を実証する計画。高度55km付近でエアロシェル実験機の最大速度は、マッハ4.45(音速の4.45倍)に達し、打ち上げ後約25分で着水する見込み。飛行中のデータは、全て地上局に送信される。 エアロシェル実験機を打ち上げるロケット「S-310」は、国産の単段式固体燃料ロケット。1975年の1号機からこれまでの40機全ての打ち上げに成功している。 「S-310」41号機の打ち上げ時間は、7月10日午後4時30分~5時00分の予定。
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展開した状態の柔軟エアロシェルの地上での実験の様子(提供:宇宙航空研究開発機構) |
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