超電導を利用して電子ビームの加速に成功
:高エネルギー加速器研究機構/東京大学など

 高エネルギー加速器研究機構は5月29日、東京大学などと共同で超電導を利用して電子ビームの加速に成功したと発表した。
 最先端の電子銃と、「超電導高周波線形加速器」と呼ばれる装置を使い、電子銃からの電子ビームを液体ヘリウムで冷やした超電導加速空洞に入れ、高い電界をかけて加速したもので、電子ビーム強度を従来の100倍程度まで高めることができるという。がん治療などに使える小型の高輝度X線ビーム発生装置実現に大きく近づいた。
 高輝度X線は、被曝量が少なく画像が鮮明なことから、これからの医療診断装置の線源として注目されている。しかし、これまでの高輝度X線ビーム源は、縦・横それぞれ50mと大型なため、その小型化をどう図るかが課題だった。
 今回の新技術を使えば、高輝度X線ビーム源を縦10m、横6m程度にまで小型化できるとし、「将来的には病院などに設置して高度医療診断などへの利用が期待される」と同機構はみている。
 この成果は、文部科学省の委託研究「超電導加速による次世代小型高輝度光子ビーム源の開発」の一環として同機構と東京大学、(独)日本原子力研究開発機構、広島大学、早稲田大学、(株)日立ハイテクノロジーズの共同研究で得た。今後、電子ビームの一層の大電流化と安定化を図り、高輝度X線ビームの生成を目指すとしている。

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