(独)農業・食品産業技術総合研究機構の畜産草地研究所は9月30日、(株)J-オイルミルズ、秋田県農林水産技術センター畜産試験場と共同で、「比内地鶏(ひないじどり)」のおいしさに不飽和脂肪酸のアラキドン酸が関与していることを確認したと発表した。
同研究所は、「飼料のアラキドン酸含量を高めることで鶏肉をよりおいしくすることが期待できる」と見ている。
秋田県の県北地域を中心に江戸時代から「比内鶏」と呼ばれる地鶏が広く飼育されてきた。しかし、比内鶏は、国の天然記念物に指定されていることから、原種を食用にするには制約があるほか、成長が遅く、繁殖性・強健性が劣るなどの難点を持っている。
こうしたことから、その改善策として、比内鶏と卵肉兼用種のロード種との交雑で開発されたのが「比内地鶏」。
今回の成果は、孵化日(ふかび)が同じブロイラーと比内地鶏を同一の飼料で育成し、鶏肉のアミノ酸、イノシン酸、脂肪酸などの生化学成分を分析したところ、比内地鶏には魚油や畜肉などに含まれ植物にはほとんど含まれない不飽和脂肪酸のアラキドン酸が多く含まれることが判明し、アラキドン酸含量の違いが肉に及ぼす影響を検証してその効果が分かったもの。
鶏肉の生化学成分分析の結果、与える飼料中のアラキドン酸含量を調整することによりアラキドン酸含量が大きく異なる鶏肉が得られ、アラキドン酸を多く含んだ比内地鶏肉の味は「うま味」や「コク味」などが強く、味が濃いことが確認されたという。
同研究所は、さらに最適の食味を得るための効果的・効率的なアラキドン酸の給与条件を明らかにすることにしている。
No.2010-38
2010年9月27日~2010年10月3日