(独)防災科学技術研究所は3月24日、100mを超える高層ビルが地震で壊れる様子を精度良く再現するシミュレーション(模擬実験)に成功、世界に例のない詳細、高精度の崩壊挙動シミュレーションが可能なことを確認したと発表した。
同研究所は、三次元震動破壊実験施設「E-ディフェンス」 (兵庫・三木市)による実験を活用し、地震防災対策のための高精度な地震災害予測シミュレーション技術の確立を目指して、数値震動台「E-シミュレーター」の開発に取り組んでいたが、このほど、超大規模数値解析手法を組み込んだプロトタイプを開発し、129m以上の超高層ビルを10㎝単位でモデル化、鉄骨造り超高層ビルの数値計算をした結果、通常のモデルの100倍以上の細かさで耐震計算が可能となった。
高層ビルでは、多数の箇所に小さい損傷が複雑に起こって崩壊するが,従来の方法ではこのような細かい損傷を精密に扱うことは困難だった。実物大の建物を揺らす「E-シミュレーター」では、これらの損傷を細かいところまで再現でき、高い予測精度が見込まれる。
また、新シミュレーションでは、コンクリート製の円柱に亀裂が入る様子も詳しく分かるという。
最終的には、原子力発電所等の重要構造物、超大型構造物のシミュレーション、さらには建物一棟一棟の精密な計算に基づく都市全体のシミュレーションの実施を目標としており、構造上の弱点を見つけたうえでビルの耐震対策などを提案していく。
No.2008-12
2008年3月24日~2008年3月30日