(国)産業技術総合研究所と日亜化学工業(株)は2月2日、可視光全域をカバーする標準LEDを世界で初めて開発したと発表した。LED照明や有機EL照明などの固体素子照明が急速に生活の場に広がってきたが、その性能を評価する標準光源がなく、これまで正確な測定が難しかった。標準LEDによって、消費者に省エネ効果や色合いなどの製品の性能を正しく知らせることができ、製品開発の加速、性能向上が期待できる。
■量産化に向けて準備進める
これまでに作られた白色LEDは、人間の可視光の上限と下限領域の光強度が弱く、不安定で測定には不向きだった。世界的なLEDメーカーの日亜化学が、中心波長の異なる複数のLED素子と複数の蛍光体を組み合わせて、可視光の波長領域(380〜780nm=ナノメートル、1nmは10億分の1m)の全体をカバーし、かつ十分な光強度を持つ標準LEDを実現した。
スペクトルの精密測定や解析技術では、世界最高の技術を持つ産総研が評価した。その結果、発光部の温度を一定に保つため温度制御機構を装備、温度安定性はこれまでより20倍高く、また点灯後の光強度がほとんど変動しないなど、安定性がよいものができた。
この標準LEDによって固体素子照明の高精度な評価が可能になり、製品開発を加速させ、性能向上が進むとみられる。日亜化学は標準LEDの量産化に向けて準備を進めている。

今回開発した標準LEDのスペクトル(赤)と、従来の白色LEDのスペクトルの例(青)(提供:(国)産業技術総合研究所)