(国)農業・食品産業技術総合研究機構は10月21日、九州の南西諸島で多く発生している家畜のフン尿を地域バイオマスとして利活用するマニュアルを作成したと発表した。
南西諸島で普及が期待されているバイオマス処理法のメタン発酵から排出されるメタン発酵処理液の臭気対策や散布技術を開発し、マニュアル化した。
メタン発酵は、家畜のフン尿や生ゴミなどの有機物を微生物で分解しメタンガスを発生させるシステム。メタンガスは、燃料などに利用するが、有機物の分解で生じるメタン発酵消化液と呼ばれる液体もリン分や窒素分に富み、良質な液肥になる。
マニュアルは、そのメタン発酵消化液と家畜フン堆肥を南西諸島の基幹作物であるサトウキビの栽培に利用して減化学肥料栽培を実現しようと作成した。同機構によると、サトウキビの収量や糖度を落とさずに化学肥料の使用量を70%以上削減できるという。
8~9月に植え付ける夏植えサトウキビは、翌翌年の1~2月の収穫になるため、収穫後の3月から次の植え付けの8月までの6カ月間、畑(圃場)は「休閑圃場」といって使われない状態になる。同機構は、メタン発酵消化液と家畜フン堆肥を利用することで休閑圃場でのソルガム(もろこし)やソバの減化学肥料栽培が行なえるようになり、「農家所得を上げられる」といっている。