(国)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は10月22日、早稲田大学と共同で国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」に搭載している「高エネルギー電子、ガンマ線観測装置(CALET)」で、宇宙のテラ電子ボルト(1テラは1兆)という非常に高いエネルギー領域の電子の直接観測を世界に先駆けて開始したと発表した。
直接観測は、CALETに装備されている「カロリメータ」と呼ばれる日本と米航空宇宙局(NASA)、イタリア宇宙機関(ASI)の協力で開発された最新の検出器を使って今後2年以上にわたって続けられる。観測では、①高エネルギー宇宙線の起源と加速のメカニズム②宇宙線が銀河内を伝わるメカニズム③暗黒物質(ダークマター)の正体などの解明を目指している。
暗黒物質は、光らないことから「ダーク」と名付けられた宇宙の仮説上の物質で、その正体解明が世界の宇宙物理学・素粒子物理学の大きな課題となっており、すでに海外からは「暗黒物質が存在する可能性を示す痕跡を発見した」とする発表などが出ている。
JAXAは、「暗黒物質の探索にはCALETのカロリメータによるテラ電子ボルト領域の電子・陽電子観測が重要となる」といっている。