8月の沖縄の暴風は台風15号の急発達が要因
―ドップラーレーダー観測データを用い台風15号を解析
:気象研究所(2015年9月29日発表)

 気象庁気象研究所と琉球大学は9月29日、沖縄県に記録的暴風をもたらした8月下旬の台風15号について、ドップラーレーダーの解析結果を発表した。現在開発中の台風強度推定法を用いで解析したもので、台風15号は、8月23日から24日にかけて八重山諸島を通過前後に中心気圧を約30hPa(ヘクトパスカル)も低下するほど急発達し、猛烈な風が吹き込んだとみられる。 

 

■水面下50mまで28℃超す海水温で発達・勢力維持

 

 台風の急発達の実況観測や予測は難しい。台風の強さの解析は、沖縄は島が多く海上では観測データが少ないため、気象衛星「ひまわり」などの衛星データに頼ることになるが、推定にはある程度の誤差がどうしても出てくる。気象研究所では、琉球大学と共同で、ドップラーレーダーのデータを用いた台風強度推定手法の開発を進めている。

 石垣島に置かれた気象庁のドップラーレーダーは、台風に向けて電波を飛ばし、その中の降水粒子に反射した電波を捉える。レーダーに近づく台風の速度と過ぎ去る速度を基に、ドップラー効果を使って渦の強さ(中心気圧)などを推定することができる。

 台風15号は23日午前10時~24日午前3時にかけて中心気圧が17時間で約30hPaも下げ、急速に発達した可能性がある。同時に、上空2000m付近の最大風速も秒速約30m増大。23日夜に石垣島では最大瞬間風速が秒速71mと、74年間の観測史上で最高を記録した。解析によると、台風は東シナ海に抜けた24日午前2時から同5時にかけて再発達のピークを迎えたとみられる。

 再発達した原因は、通過海域の海水温が深さ50mまで28℃以上と暖かく、海水のかき混ぜ効果がなかったことに加え、台風の勢力を弱める、上空に強風や乾いた空気の流入がないことなどによると考えられるという。

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