（国）物質・材料研究機構をはじめとする産官学の6機関は9月29日、超小型・超高感度のセンサー素子MSSを用いた嗅覚センサーの業界標準を目指す新たな共同研究体制である「MSSアライアンス」を25日に発足させたと発表した。「MSSアライアンス」を通じて実用化に向けた基礎的要素技術の確立を目指す。
■6機関が開発へ歩調
MSSは「膜型表面応力センサー」の英文の頭文字で、表面の膜に分子が吸着すると、表面応力が生じ、電気抵抗が変化するのを用いて分子を検知する超高感度で超小型のセンサー素子。ニオイの元となるガス分子をはじめ、DNA、タンパク質などの生体分子にいたるまで多様な分子を大気中あるいは液体中で測定できる。
物質・材料研究機構の吉川元起研究者が、走査型トンネル顕微鏡の開発でノーベル賞を受賞したスイスのH.ローラー博士らと共同で2011年に開発、物材研究機構はMSSの実用化開発や社会への普及を目指して産官学協力体制の構築を産業界、学界に働きかけていた。
MSSアライアンスに加わったのは物材機構のほか、京セラ（株）、大阪大学、日本電気（株）、住友精化（株）、NanoWorld AG。研究開発の役割分担は、ガス成分検知・各種用途に向けた受容体の開発と最適化（物材機構）、標準ガス計測データベース構築（住友精化）、計測電子回路モジュールの設計・開発（京セラ）、ガス成分計測データ解析モデルの開発（大阪大）、計測データの自動解析アルゴリズムなどの研究開発（日本電気）、MSSチップ量産化技術研究など（京セラなど）となっている。
6機関は当面、業界標準（デファクトスタンダード）を目指して要素技術や関連技術の共同研究開発を推進する。その後さまざまな企業が参加できるオープンな体制に発展させたいとしている。
